お口の中に石が…?唾石症とその治療法について
人間の身体には、さまざまな場所に石ができます。実はお口も例外ではなく、石が作られることがあります。
食事のたびに舌の下や顎の下が腫れる・痛むという方は、その石が関係しているかもしれません。お口にできる石は唾石(だせき)と呼ばれる塊で、唾石が引き起こす病気を唾石症(だせきしょう)といいます。
唾石は自然になくなるとは限らず、症状によっては摘出が必要です。今回は、そんな唾石ができるしくみから、検査や症状、治療法についてお話しします。
お口にできる石の正体

冒頭でも触れたように、お口にできる石は唾石と呼ばれ、この唾石ができる病気を唾石症といいます。
唾石とは、唾液腺や導管にできる石のような塊のことを指します。
唾液腺は唾液を作り出す組織で、導管は作られた唾液をお口の中へ流すトンネルにあたります。この2か所のどこかに、硬い塊が生まれます。これは歯や骨と同じように硬く、自然に溶けてなくなることはありません。
唾石ができる原因
唾石は、導管に入り込んだ異物にカルシウムが付着してできると考えられています。
お口の中には唾液腺から続く導管の出口があり、目視できるほど比較的大きいのですが、唾液が流れているので、通常は異物が入ってしまうことはありません。
しかし、何らかの原因で細菌などの異物が入り込むと、その周りに唾液成分のひとつであるカルシウムが集まり、石のような塊になると考えられています。
唾石ができやすいところは?

唾石ができるのは、大唾液腺と呼ばれる大きな唾液腺です。
唾液腺は、大唾液腺と、唇や頬の中などに埋まっている小唾液腺の2つに分けられます。さらに大唾液腺には、顎下腺(がっかせん)・舌下腺(ぜっかせん)・耳下腺(じかせん)の3種類があります。
このうち唾石ができやすいのは、顎の下にある顎下腺です。
顎下腺が作る唾液は、比較的ドロっとしていて流れにくい性質があり、さらに顎下腺は奥深いところにあるため、導管の長さも大唾液腺のなかで最も長くなります。
そのため、流れにくい唾液が長い導管を通るあいだに、異物がとどまりやすくなってしまうわけですね。
逆に、唾液がサラッとしているうえに導管も短い耳下腺では、唾石ができにくいとされ、同じ唾液腺でも、唾液の性質や導管の長さによって、唾石のできやすさは変わります。
唾石症の検査方法

唾石があるかどうかは、触診とレントゲン写真撮影で調べます。
浅いところにできた唾石や大きな唾石なら、舌の下と顎の下から同時に指で押さえると、分かることがあります。
より確実に唾石を見つけるには、レントゲン写真を撮影します。パノラマエックス線写真という口全体を写すレントゲン写真や、咬合法というカードより一回り大きなレントゲンフィルムを噛んで撮影するレントゲン写真を用いると、明確に判別できるでしょう。
ただし、耳下腺の唾石は、これらのレントゲン写真には写りにくくなります。
もし唾石の位置や数を立体的に把握する必要があれば、CT撮影を行います。CTを活用すれば、唾石の大きさや形だけでなく、三次元的な位置、数などに至るまで、詳細に分かるようになります。
唾石症の症状

唾石症の症状としては、無症状のものから腫れ・痛み・発熱などが挙げられます。また、唾石の大きさや位置、唾液の流れがどの程度妨げられているかによって、現れ方は変わります。
無症状
唾石ができていても、特に症状がない方もいらっしゃいます。
症状がない場合は、別の目的でレントゲン写真を撮影したときに偶然見つかるケースがほとんどです。実は自覚がないまま過ごしている方も少なくありません。
腫れ
唾石症の腫れは、現れる場所によって2つに分けられます。
- ①舌の下の腫れ
- ②顎の下の腫れ
唾石症の症状で多いのが、前者の舌の下の腫れです。
唾石ができると、唾液の流れが妨げられますが、唾液腺では唾液を作り出しているので、唾石が唾液を堰き止めてしまいます。このため、唾液が溜まって腫れるのです。
また、顎下腺に唾石ができると、顎の下が腫れることもあります。
痛み
唾液が溜まると、その周囲の組織が圧迫されるようになります。唾液腺も唾液が送り出せなくなって内圧が高まり、これが痛みの原因になります。
唾液は食事の時にたくさん出るため、食事の時に唾石症の痛みが増すことがあります。この痛みを唾疝痛(だせんつう)といい、唾石症独特の痛みとして知られています。
発熱
唾液の流れが妨げられた状態が続くと、導管や唾液腺で細菌が増えることがあります。そこから細菌による炎症が起こると、腫れや痛みに加えて、発熱の症状が出る場合もあります。
唾石症の治療法

唾石症の治療法は、症状の有無と唾石の位置によって決まります。
症状がない場合や、小さな唾石の場合は、自然に出てくることもあるため、経過観察となることもあります。
薬物療法
腫れや痛みなどの炎症症状が強い場合は、まず抗菌薬を使って炎症の緩和を図ります。
痛みについては、消炎鎮痛薬という痛み止めの薬を処方します。
摘出術
炎症症状が落ち着いたら唾石を摘出します。顎下腺唾石を例に見ていきましょう。顎下腺唾石は、おおむね第一大臼歯という前から6番目の歯の辺りにできるとされています。
第一大臼歯より前に唾石がある場合、お口の中から摘出します。局所麻酔の上、唾石の上あたりを切開し、唾石を取り出します。出口に近い小さな唾石なら、指先で絞り出すように押すだけで出てくることもあります。
第一大臼歯より後ろに唾石がある場合は、顎下腺ごと唾石を摘出します。顎下腺の摘出術は全身麻酔下で行われ、顎の下の皮膚を切開して、顎下腺を取り出します。
内視鏡手術
近年、新しく開発されたのが、内視鏡を使った摘出術です。唾液管内視鏡という、直径1.6mmほどのとても細い内視鏡を唾液腺の出口から入れ、モニターで監視しながら唾石に近づき、専用の鉗子を使って摘出します。
内視鏡手術であれば、顎下腺摘出術の適応となるような位置の唾石でも、皮膚を切開せずに摘出することが可能です。
ただ、内視鏡手術は機材の関係から、対応している医療機関はたいへん少ないのが実情です。
食事のたびに舌の下が腫れるなら唾石症の可能性があります
今回は、お口にできる石、唾石、そして唾石が原因の病気、唾石症について解説しました。
無症状の唾石症は経過観察となることが多いのですが、何らかの症状があれば、薬を使った炎症の緩和ののち、摘出術を行います。担当となるのは、歯科医院もしくは耳鼻咽喉科になります。
成増さくら歯科では、お口だけでなく全身の健康を見据えた歯科治療を心がけています。虫歯や歯周病だけでなく、食事のときの腫れや痛みが気になるという方も、成増駅すぐそばの成増さくら歯科にぜひお越しください。
