インプラントの骨吸収を減らすプラットフォームスイッチングとは
インプラントは、埋入後順調であっても、1年で1.5mm以下、その後は1年ごとに0.2mmずつ骨が減っていくと言われています。
言い方を変えれば、骨の減少量がこの範囲にとどまっていれば、成功とみなされるわけですが、骨の減少は、できることならもっと減らしたいところです。
インプラント周囲の骨の減少を減らす方法のひとつに、プラットフォームスイッチングと呼ばれるものがあります。
今回は、そんなインプラントのプラットフォームスイッチングについてご紹介します。
インプラントの構造

プラットフォームスイッチングに関係しているのが、インプラントの構造です。
インプラントは、基本的に3つのパーツで作られています。上の図のように、インプラントは、歯根に相当するフィクスチャー、歯冠に相当する上部構造、そしてフィクスチャーと上部構造を接続するアバットメントからなります。
このフィクスチャーとアバットメントの接続部分を『プラットフォーム』といい、プラットフォームスイッチングは、この部分に関係している手技です。
プラットフォームスイッチングについて

では、今回のテーマであるプラットフォームスイッチングについて解説しましょう。プラットフォームスイッチングとは、わざとフィクスチャーよりも1回り小さなアバットメントを装着する方法です。
通常、フィクスチャーとアバットメントは、サイズがピッタリ合うものを選びます。
フィクスチャーとアバットメントのサイズが合っていれば段差はできません。段差ができるとプラークが付着する温床になり、インプラントの寿命に悪影響を与えるとされていたからです。
一方、1回り小さなアバットメントを用いるプラットフォームスイッチングでは、段差ができてしまいます。
ところが、この段差があるおかげで、骨吸収が減少することがわかったのです。
発見のきっかけ
プラットフォームスイッチングが発見されたきっかけは、全くの偶然です。
ある時、インプラントの研究者が、フィクスチャーにつけるアバットメントを選ぶ際、間違ったサイズのアバットメントを選んでしまいました。
そして、間違いに気が付かないまま、数年後、レントゲン写真を撮影したのです。
すると、正しいアバットメントを装着したインプラント側の骨は減っていたのに、間違ったインプラント側の骨は減っていなかったそうです。
この後、プラットフォームの研究が進み、プラットフォームスイッチングが考案されることになります。
骨の吸収が減る理由
どうして間違ったアバットメントにすると骨の減少が減るのか、現在では次のように考えられています。

普通の歯は、歯根の周りに歯根膜(しこんまく)というクッションの役割を果たす組織があるのですが、インプラントには歯根膜がありません。
そのため、通常の噛み合わせでも、力が骨にダイレクトに伝わり、インプラントの周囲の骨は少しずつ減少していきます。
フィクスチャーより小さなアバットメントにすると、プラットフォーム部分に「くびれ」が生じます。このできた「くびれ」が、噛んだときにインプラントに加わる力を吸収し、骨に伝わりにくくしていると考えられています。
プラットフォームスイッチングのメリット

ここでは、プラットフォームスイッチングのメリットを見ていきましょう。
骨の減少を抑える
先述のとおり、プラットフォームスイッチングの最大のメリットは、骨の減少を抑えられることです。
審美性を保つ
インプラントの周囲の骨が減少すると、それにともなって歯肉も下がります。すると、フィクスチャーの金属部分が露出するようになりますので、インプラントの審美性が下がります。
これは、特に見えやすい前歯部に大きな影響を及ぼします。
プラットフォームスイッチングを行えば、インプラントの周囲の骨の減少を抑えられるので、審美性の低下を防ぐことができます。
短いインプラントの予後も改善できる
フィクスチャーの長さが長ければ長いほど、インプラントの安定性は増します。
ところが、インプラントの周囲にもともと骨が少ない方は、長いフィクスチャーや太いフィクスチャーを入れることができません。
短いフィクスチャー(ショートインプラントといいます)を使うとインプラント治療ができますが、その周囲の骨が減少すると、将来的な安定性が低下します。
プラットフォームスイッチングによって周囲の骨の減少が抑えられれば、短いインプラントでも長期にわたって安定性を保ちやすくなります。
手技的には簡単
一回り小さなアバットメントを選ぶだけですから、手技としてはそれほど難度が高い処置ではありません。
プラットフォームスイッチングのデメリット

次にデメリットについて見ていきましょう。
採用しているインプラントメーカーが少ない
上述のように、サイズ違いのアバットメントにするのであれば簡単にできそうですが、単にサイズ違いのアバットメントにすると、上部構造がフィットしなくなります。
インプラントメーカーはたくさんありますが、プラットフォームスイッチングを採用しているメーカーは数社しかありません。
対応できる歯科医院が少ない
インプラント手術に使う器材はメーカーごとに差があるので、一度インプラントメーカーを決めると、おいそれとそれを変更することはできません。
さらにプラットフォームスイッチングを採用しているインプラントメーカーは少ないので、プラットフォームスイッチングに対応できる歯科医院も少ないのが実情です。
まとめ
今回は、インプラントのプラットフォームスイッチングについてお話ししました。
お伝えしたように、プラットフォームスイッチングは、アバットメントのサイズを一回り小さくして、骨の減少量を抑える方法です。
まだ、採用メーカーが少ないのが難点ですが、審美性の保持やショートインプラントの安定性という点で大きなメリットがあるといえるでしょう。
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