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2025.12.21

歴史を変えるかもしれない次世代インプラント『バイオインプラント』とは?

インプラントは、仕上がりや噛み合わせの良さ、快適さなどを持つ優れた治療法で、歯を失った方の選択肢として広がりつつあります。

セラミックで治した場合、普通の歯と見紛うばかりの仕上がりになるのですが、普通の歯とインプラントでは大きな違いがありました。

歯根膜がないという限界を超えるバイオインプラント

それが歯根膜です。普通の歯には歯根膜があり、インプラントにはないのです。このため、インプラントには普通の歯を超えられない限界がありました。

しかし現在、歯根膜をインプラントに着けるべく研究開発が行われており、その結果バイオインプラントというインプラントが実用化目前になってきました。今回は、そんな次世代インプラントとも言える『バイオインプラント』についてお話しします。

歯根膜の役割

歯根膜の役割

歯根膜は、歯の根の周囲を覆う靱帯のような組織で、歯と骨を結びつけています。歯根膜には、多くの役割があることがわかっています。

噛み合わせを感じる

歯根膜には噛み合わせたときの力を感じる圧力センサーのような神経があります。食べ物を噛んだときに、噛み合わせたことだけでなく、食べ物の硬さがわかるのは、歯根膜があるからです。

噛み合わせの力を和らげる

歯根膜はとても薄いのですが、歯や骨と違い弾力性があり、噛み合わせた時に歯にかかる力が、骨の直接伝わるのを防いでいます。

歯周病菌の侵入を妨げる

歯根膜には血管があり、歯周病菌などの細菌の侵入を防いでくれています。歯根膜は、歯周病から歯を守ってくれているわけです。

より詳しい歯根膜の働きとインプラントの関係性については、医療連携施設である町田歯科インプラントの噛み合わせが悪いとどんな影響が?のコラムを併せてご参照ください。

現行のインプラントの限界とは?

インプラントの構造

現行のインプラントは歴史もあり、治療法として確立されているので優れた治療法には違いないのですが、歯根膜がないので限界があるのも事実です。

噛み合わせ感がわかりにくい

しっかり噛めるのですが、歯根膜がないので噛んだ感じがわかりにくいのも事実です。普通の歯のように、硬い、柔らかいといった食べ物の繊細な食感を感じ取るのは難しいと言えます。

噛み合わせの力の受け止めがシビア

インプラントには歯根膜がないので、噛み合わせの力がインプラントを通してダイレクトに骨に伝わります。

そのため、噛み合わせの調整をするのですが、診療室では噛み合わせ状態を完全に再現することは難しく、噛み合わせの位置関係や力加減によっては、インプラントが欠けたり、周囲の骨が吸収されたりといったことが起こり得ます。

細菌の侵入を妨げるものがない

お口の中には多くの細菌がいます。そのため、インプラントと歯肉の境界付近はきれいに保っていなければ、そこから細菌が入り込んでしまうことがあります。

歯根膜があればそれを阻めるのですが、インプラントには歯根膜がないので、一度細菌に侵入されてしまうと、その進行を止めるのが難しいことがあり、インプラントの寿命を縮める恐れもあります。

動かない

現行のインプラントは、骨と直接結合しています。このため、かなり強固であるというメリットがあるものの、言い方を変えると全く動かすことができません。

普通の歯のように動かせないので、インプラント治療後の矯正治療などは困難になります。

バイオインプラントが開く新たな可能性

バイオインプラントと現行のインプラントの最大の違いは、歯根膜の有無です。バイオインプラントには歯根膜があるため、今までにない大きな可能性を秘めています。

バイオインプラントが開く新たな可能性

画像出典:公益財団法人 市村清新技術財団

感覚の向上

バイオインプラントには歯根膜があるので、噛み合わせたときに、硬さややわらかさなど、繊細な食べ物の食感を感じることができます。

自然の歯と同じような噛み合わせを感じることができるのは、バイオインプラントの最も身近な利点と言えるでしょう。

矯正治療が可能になる

矯正治療で歯が動かせるのは、歯根膜があるからです。歯根膜に矯正力が伝わることで、骨の吸収と成長が促され、歯が移動します。

インプラントは骨と結合しているので動かせませんから、矯正するためにはインプラントに歯並びを合わせるか、インプラントを除去するしかありませんでした。

バイオインプラントなら、歯根膜があるので歯を動かせると考えられていますので、天然の歯と同じように矯正治療が受けられるようにもなります。

お子さんにもインプラント治療を行える可能性

お子さんは、成長に伴って顎の骨の形や大きさが変わり続けます。

顎の骨の形や大きさが変わると、歯の位置もそれに合わせて自然に動いて変わりますが、インプラントは動きません。そのため、お子さんにはインプラント治療は行ってはならないとされてきました。

バイオインプラントであれば、歯根膜があるので成長発育に合わせて自然に動いてくれる可能性があり、お子さんにもインプラント治療ができるようになると期待されています。

被せ物の破損リスクの軽減

歯根膜があると、不意に硬いものを噛んだとしても、開口反射によって無意識に口が開いて、歯が欠けないように守ることができますが、インプラントにはこれができませんでした。

バイオインプラントなら、硬いものを噛んだとしても、普通の歯と同じようにお口が開き、被せ物の破損を防げる可能性が高くなります。

インプラント周囲の骨の保護

噛み合わせの際、インプラントに過度な力が加わると、その力がインプラント周囲の骨に伝わります。

すると、インプラント周囲の骨は徐々にダメージを受け、そのダメージが蓄積すると、インプラントの周囲の骨はやがて吸収されて減っていきます。骨の吸収が進むと、最後にはインプラントを支えきれなくなり、インプラントが抜け落ちる原因になりかねません。

バイオインプラントなら、歯根膜が噛み合わせの力を受け止めてくれるので、インプラント周囲の骨にダメージが蓄積されることを減らせるようになります。

インプラント周囲炎の防止

インプラント周囲炎

インプラントの周囲を歯根膜が保護してくれていると、先述のように、細菌の侵入を防ぐことができます。

バイオインプラントなら、現行のインプラントと比べ、インプラントの大敵であるインプラント周囲炎(インプラントの歯周病ともいえる病気)になるリスクを低く抑えることができます。

新たな可能性を秘めたバイオインプラント

今回は、次世代のインプラントとも言える画期的性能を秘めたバイオインプラントについてお話ししました。

現行のインプラントには歯根膜がなく、インプラントは骨と直接結合するため、しっかりと噛める反面、その性能には限界がありました。

バイオインプラントは、歯根膜を再生させることで、現行インプラントの性能の限界を越えることが期待されています。

バイオインプラントが実用化されれば、インプラントの歴史が変わるかもしれない…バイオインプラントはそれくらい大きなポテンシャルを秘めたインプラントなのです。

成増さくら歯科は、最新の歯科治療についても常にキャッチアップするようにし、日々の研鑽を欠かしませんこれからもその姿勢を守り続け、充実した設備のもと、患者さんのお役に立てる治療を提供してまいりますので、新しい治療法に興味のある方も、成増駅すぐそばの成増さくら歯科にお問い合わせください。

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