舌足らずの原因は舌が短いのかも?舌小帯短縮症の治療について
お子さんがはっきり発音できない時、親御さんとしては気になりますよね。
それはもしかしたら、舌が上手く動かせないからかもしれません。
舌が上手く動かせない原因のひとつに舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)という病気があります。 今回は、舌小帯短縮症についてお話しします。
舌小帯について
舌小帯短縮症について説明する前に、舌小帯についてお話ししましょう。
そもそも「小帯」とは、お口の中にあるひだ状の組織のことです。 お口の中にはこの小帯が全部で7個あります。
そのうち、お口の底から舌先にかけて認められる小帯を舌小帯といいます。 他の6つの小帯は歯並びの外側にあるのですが、舌小帯だけは歯並びの内側にあるのが特徴です。
また、舌小帯以外の小帯は、頬や唇の動きに関係しているのですが、舌小帯だけは頬や唇には関係なく、舌の動きだけに関係しているのも舌小帯の特徴と言えるでしょう。
舌小帯短縮症とは
舌小帯短縮症とは、舌小帯の付着位置、長さや太さなどの形に異常がみられる病気のことで、舌小帯癒着症(ぜつしょうたいゆちゃくしょう)、舌小帯強直症(ぜつしょうたいきょうちょくしょう)とも呼ばれます。
生まれて間もない赤ちゃんの舌小帯は、太く短い上に、舌先についていることが多いのですが、成長とともに伸びていき、舌の中間辺りに移動します。
しかし、成長しても舌小帯が短いままになってしまうことがあり、これが舌小帯短縮症の原因になると考えられています。
舌小帯の位置や形に異常があったとしても、痛みや腫れなどの自覚症状はまずありません。そのため、舌小帯短縮症に気が付いていない方も珍しくないのです。
ただ、詳しくは後ほど説明しますが、舌小帯短縮症には生活を送る上でさまざまな悪影響を及ぼすため、注意が必要です。
舌小帯短縮症の症状
次に挙げる症状のいずれか一つでも当てはまれば、舌小帯短縮症が疑われます。気になる方はチェックしてみましょう。
- ①普通にお口を開けたときに舌を上げようとしても、舌先が引っ張られてしまう。
- ②舌を前に伸ばすと、舌の先がハート型にくぼんでしまう。
- ③舌を前に出そうとしても、下顎の前歯より前に出せない。
舌小帯短縮症の原因は?
舌小帯短縮症は生まれつきの症状ですので、遺伝など先天的な原因が考えられています。また、舌小帯短縮症の発生頻度は5%未満です。 男女ではほとんど差はありません。
舌小帯短縮症の問題点
舌小帯短縮症では舌の動きが悪くなります。 舌の動きが悪くなると、時期に応じて次のような問題が出てきます。
赤ちゃんの時期
赤ちゃんの時期では、母乳を飲みにくくなる哺乳障害や、母乳や離乳食を飲み込みにくくなる嚥下(えんげ)障害などの原因になります。
幼児期
言葉を作り出すには、舌を色々な方向に動かさなくてはなりません。舌小帯短縮症になると舌の動く範囲が狭くなるので、はっきりとした声を作り出すことが難しくなります。 いわゆる舌足らずの状態ですね。
影響が出やすいのは、タ行、ナ行、ラ行です。
より詳しくは、町田歯科・矯正歯科の提携医院であるポラリス歯科・矯正歯科の舌足らずの原因は舌小帯かものコラムをご参照ください。
舌小帯短縮症は何科で診てもらう?
舌小帯短縮症が疑われる場合、どの診療科を受診すればいいのかわからない方もいらっしゃると思います。
おすすめは、歯科や歯科口腔外科です。 小児歯科でも対応してくれるところはありますし、近くになければ耳鼻咽喉科でも診てもらえます。
舌小帯短縮症の治療法
経過観察と舌を動かすトレーニング
舌小帯短縮症の程度が軽い場合は、舌を動かすトレーニングであるMFT(口腔筋機能療法:Oral Myofunctional Therapy)をすることで自然に伸びて解消されることがあります。
MFTについては、提携医院である町田歯科・矯正歯科のMFT(口腔筋機能療法)をご存知ですか?のコラムをご参照ください。
舌小帯の切除
舌小帯切除術 中等度以上の舌小帯に対しては、舌小帯切除術が行われます。
まず局所麻酔で舌小帯をメスで水平に切開します。切除すると、その部分の形が菱形になりますので、縦に合わせて縫い合わせます。
この処置は、4〜6歳以上であれば外来で十分受けられますが、それ以下の年齢のお子さんに手術する場合は、全身麻酔での手術となることもあります。
レーザー切除術
普通のメスでなく、炭酸ガスレーザーで舌小帯切除術を行えば、手術時間はとても短く、手術後の出血もほとんど起こりません。
症状によっては麻酔や縫合の必要もありません。 レーザー切除術はとても利点が多いのですが、高額なレーザー機器が必要なのが難点です。
舌小帯短縮症治療後のリハビリ
舌小帯短縮症の治療を終えても、すぐに上手に話せるようになるわけではありません。舌が短い状態で長年過ごしてきたため、それ以上の範囲で舌を動かす習慣がないからです。
そこで、手術から1週間ほど経ってから、舌を動かすリハビリを始めます。 舌の動き方や話し方に合わせて、おおむね3〜4ヶ月程度かけて行っていきます。
まとめ
今回は、舌小帯短縮症について解説しました。 舌小帯短縮症は、それ自体は痛みも腫れもありませんが、飲み込みや発音に悪影響を及ぼします。
お子さんの話し方が舌足らずだった時、その原因は、もしかしたら舌小帯短縮症かもしれません。今回ご紹介した舌小帯短縮症を見分ける3つのポイントに当てはまれば、舌小帯短縮症の可能性がありますので、気になる方は、成増駅すぐそばの成増さくら歯科・矯正歯科にご相談ください。