親知らずが痛くなる原因と対処法

以前、親知らずは抜歯した方がいい？それとも残した方がいい？のコラムで、親知らずを抜歯する基準についてお伝えしましたが、親知らずは炎症を起こすと痛みが強く、悩ましいものですよね。

縄文時代の遺跡にあった人骨を調べてみると、親知らずの炎症の痕跡が見つかったそうです。医療連携施設である町田歯科のコラム「縄文人も悩まされていた！？親知らずの腫れや痛み」でもお話したとおり、人類は数千年前から親知らずの炎症に苦しめられてきたようで、これは21世紀の現代に至っても変わりません。

親知らずが痛くなるのはどうしてなのでしょうか。 今回は、親知らずが痛くなる原因と対処法について解説します。

親知らずの特徴

親知らずと他の歯には大きな違いがあります。

真っ直ぐに生えていない

親知らずが生えてくる頃には、体の成長が止まっていますので、親知らずが生えてくるために、顎の骨が大きくなることはありません。

このため、親知らずが生えるスペースが足りないと、親知らずは抜歯した方がいい？それとも残した方がいい？のコラムで触れたように、親知らずが真っ直ぐに生えることができず、斜めに傾いていたり、真横に倒れていたりすることが多くなります。 上下逆さまになっていることもあります。

歯肉が覆っている

斜めや真横に向いている親知らずは、歯肉によって覆われていることが多く、歯ブラシの毛先が届きにくくなるため、なかなかきれいに磨くことができません。

親知らずが痛くなる原因

親知らずの虫歯

完全に埋まっている親知らずは別として、斜めに埋まっている親知らずや、後ろ半分が歯肉に埋まっている親知らずは虫歯になります。

虫歯になると、他の歯と同じく、冷たいものや熱いものに痛みを感じるようになります。 ある程度虫歯が進むと、歯の神経がダメージを受け、神経が壊死してしまうのも他の歯と同様です。

親知らずの前の歯の虫歯

親知らずの付近に痛みがあり、親知らずが虫歯だと思っていたら、親知らずの手前の歯に虫歯ができていたということもしばしばあります。 これは特に親知らずが斜めになっている時に起こりやすくなります。

炎症（智歯周囲炎）

親知らずは、最も奥で磨きにくい、きちんと生えていることが少ないなどの理由で、しばしば炎症を起こして腫れます。

症状としては歯周病とほとんど同じなのですが、親知らずは抜歯した方がいい？それとも残した方がいい？のコラムで解説したとおり、親知らずの場合は智歯周囲炎（ちししゅういえん）といいます。

智歯周囲炎を起こすと、親知らずの周囲の歯肉の腫れにとどまらず、喉やお顔にまで腫れが広がることも珍しくありません。

親知らずが痛くなった時のセルフケア

親知らずが痛い時、歯科医院を受診するのが一番ですが、夜間や休日などですぐに受診できない時のセルフケアについて説明します。

痛み止めの薬を飲む

ドラッグストアや薬屋さんには、様々な痛み止めの薬を販売しています。 それらの中で、歯の痛みに効果・効能のある痛み止めの薬を飲むのも一つの方法です。

どの薬がいいのかわからない時には、お店の薬剤師さんに相談するといいでしょう。痛み止めの薬を選ぶ際は、使用している薬がある場合は相互作用に注意し、アレルギーのある方はアレルギーを起こさない薬を選ぶように気をつけてください。

正露丸を詰めてみる

正露丸は、下痢などのお腹のトラブルに効果のある薬として知られていますが、虫歯の痛みにも効果があります。これは正露丸の成分の一つである木クレオソートによるものです。

使い方としては、お腹の症状には正露丸を飲みますが、虫歯の痛みに対しては、飲むのではなく、虫歯の部分に正露丸を詰めてください。

ただし、正露丸で痛みが和らいでも虫歯が治ったわけではないので、必ず歯科医院で診てもらうようにしましょう。 なお、正露丸が効くのは虫歯の痛みだけです。 智歯周囲炎の痛みに効きませんので、ご注意ください。

やさしく歯磨きする

親知らずが智歯周囲炎で腫れて痛い時、痛いからといって歯を磨かなければ、さらに腫れが悪化する可能性があります。 歯ブラシをやさしく当てて磨くようにしましょう。

食事は反対側で

親知らずが痛い、もしくは腫れたからといって、食事を極端に控えるのは良くありません。食事や水分補給を怠ると、体力が低下し、それが免疫力の低下につながり、さらに悪化させてしまうからです。

痛んだり腫れたりしている親知らずの反対側で噛む、軟らかめの食べ物にするなどして、親知らずを刺激しないようにしつつ、食事を摂りしょう。

ツボを押す

歯の痛みに効くツボを押してみるのも一つの方法です。

合谷（ごうこく）

合谷は、人差し指の骨と親指の骨の付け根付近よりやや先にあるツボです。 人差し指と親指を使って合谷を押さえると、小指の付け根付近に痛みを覚えるはずです。 ここを数分押さえてみてください。

承漿（しょうしょう）

こちらは、顔にあるツボです。 下唇の下、オトガイと呼ばれる下顎の先の間、体の中心線上の少しくぼんだ部分にあります。 この部分を数秒間、強めに押さえてみてください。

歯科医院での親知らず治療

先述のとおり、親知らずが痛む時は、歯科医院を受診するのが基本になります。歯科医院では専門的な処置を行い、親知らずの痛みに対応します。

薬物治療

まず最初に行われるのが薬を使った治療です。

抗菌薬

親知らずが腫れる原因は細菌です。 抗菌薬を処方して、原因菌の増殖を抑えたり、殺菌したりして、炎症を和らげます。

飲み薬の抗菌薬で炎症の緩和を図りますが、顔が腫れたり、喉が痛くなったり、発熱しているような場合には、抗菌薬の点滴を行うこともあります。

鎮痛薬

痛みについては、鎮痛薬を処方し、痛みを和らげます。あまりにも痛みが強い方には、坐薬の痛み止めを処方することもあります。

抜歯

親知らずの多くは、斜めに生えていたり、歯肉に覆われていたりして、効果的な治療を行うことは難しい状態です。そのうえ、歯磨きが難しく、プラークがたまりやすいので、何度も腫れることも珍しくありません。

このため、痛んだり腫れたりした親知らずの治療法としては、抜歯が選ばれることが多くなります。

どのようなケースで抜歯を選ぶかについては、親知らずは抜歯した方がいい？それとも残した方がいい？のコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。

虫歯治療

先ほど抜歯が選ばれることが多いとお伝えしましたが、真っ直ぐに生えていて、歯肉にも覆われていない親知らずの虫歯なら、虫歯治療で治せる可能性もあります。

具体的には、親知らずの虫歯がそれほど深くない場合は、コンポジットレジンというプラスチックや、インレーという小ぶりの詰め物で治療し、虫歯が深い場合は、根管治療によって、歯の神経を取り除く処置（抜髄：ばつずい）を行います。

まとめ

今回は、親知らずが痛くなる原因と、痛くなった時の対処法についてお話ししました。 ただし、セルフケアは、あくまでも夜間や休日など、すぐに歯科医院を受診できない場合の応急的な対処法です。

親知らずが痛い時は、セルフケアにだけ頼るのではなく、歯科医院を早めに受診することが大切です。 成増さくら歯科は、徹底して丁寧な対応と痛みのない治療を心がけておりますので、親知らずの痛みでお悩みの方も、成増駅すぐそばの成増さくら歯科へぜひお越しください。